基本知識
ウイスキーは蒸留酒と呼ばれるカテゴリーのお酒でブランデー・焼酎などと一緒のカテゴリーになります。
※ワイン・日本酒・ビールなどは醸造酒になります。
難しい説明は置いておいて、ウイスキーは醸造酒を蒸留(アルコール濃度を高める)をし、熟成( 樽の中で長期間じっくり寝かせる )して作られます。
原料は大麦・ライ麦・トウモロコシ・小麦など
熟成期間も10年、12年、18年、それ以上・・・と多様に存在しますが、長い=美味しさに直結するわけではありません。
長ければそれだけ樽からの風味が出てきますし、あえて長く熟成しないことで蒸留所としての個性が強くでることもあります。
この辺りの味の変化については正直好みによりますね。 蒸留時間が長いものは作成までに長期間かかるので...、そりゃ高いですね。
ファッションでハイブランドを買うようなものです。
また、樽に長い間つめておくと蒸発して量も減っていきます。この現象を天使の分け前(エンジェルズ・シェア)と呼ぶこともあります。天使が呑んだ分だけ美味しくなる、という素敵なエピソードです。
話がそれましたが、樽にも種類ごとに大きな違いがあります。
例:シェリー樽、ミズナラ樽など
詰める樽によって個性も変わってくるので、表記を要チェックしておきましょう。
他にも蒸留を重ねるごとに樽を移し替えたり、最後の数か月だけ移し替えるという技法もあります。これはウイスキーの香り付けに使われるもので、より複雑な味わいや香りにしてくれます。
~フィニッシュと表記されているウイスキーがこれにあたります。
ウイスキーの種類
モルトウイスキー、グレーンウイスキー、その二つを合わせたブレンデッドウイスキーの3種類に分類できます。
モルトウイスキー
大麦 の麦芽を発行させ、2回以上蒸留して作成しますが、土地・気候などの条件や蒸留所によっての風味・味わいの個性が強く出る、最もベターなウイスキーと言えます。
グレーンウイスキー
トウモロコシなどの穀物を原料とした軽い風味のウイスキー。単体で呑まれることはほとんどなく、モルトと合わせて作る「ブレンデッドウイスキー」の材料としてのみ使われることが多い。
ブレンデッドウイスキー
数種類の個性異なるモルトウイスキーを混ぜ合わせ(これをヴァッティングといいます)、更にそれを引き立てるグレーンウイスキーとブレンド。互いの長所を引き出すウイスキーです。
ここでは蒸留所によって個性が強く反映されるのがモルトウイスキー、ブレンドすることで味と香りのハーモニーを楽しむブレンデッドウイスキーといった感じで覚えておけば良いでしょう。
5大ウイスキー
ウイスキーは世界各国で作られていますが、主に北半球で作られています。その中でも5大ウイスキーと呼ばれるものは
スコットランド-スコッチウイスキー
アイルランド-アイリッシュウイスキー
アメリカ-アメリカンウイスキー(主にバーボンウイスキー)
カナダ-カナディアンウイスキー
日本-ジャパニーズウイスキー
の5種類です。詳しくは下記に記載していきます。
【スコットランド-スコッチウイスキー】
スコットランドはウイスキーの元となる大麦が育てやすい湿地帯が多い土地で、イギリスの主な輸出品であるウイスキーは200カ国以上に輸出しているという、5大の中でも最も有名である国です。
蒸留所の数は100以上、世界生産量の50%以上とウイスキーの本場と言うにふさわしいことが伺えます。
蒸留所で主に2つのウイスキー、モルトウイスキーとグレーンウイスキーを作っています。
このスコッチですが名乗るにも法律による規則・条件があります。クオリティを保ち生産を続けるには必要なことだと思いますが、細かなものが定められています。
「大麦やそのほかの穀物、および水と酵母のみを原料とする」や「糖化や発酵そして蒸溜をスコットランドの蒸溜所でおこなう」「スコットランドにおいて3年以上オーク樽で熟成させる」などがあります。
スコットランドには6つの生産地に分かれています。100以上の蒸留所がひしめき合い、1000種類ものウイスキーが作られているわけで...凄いなといつも思います。
スペイサイドモルト
アイラモルト
ハイランドモルト
アイランズモルト
キャンベルタウンモルト
ローランドモルト
の6種類です。
By Drawn, CC BY-SA 3.0
それぞれに特徴があるわけですが、ここでは3種類ほどスコッチウイスキーとして銘柄や呑み方をご紹介します。
「マッカラン(シングルモルト・スペイサイド)」
呑みやすさ人気共に初心者にもおススメな品です。華やかな香りと濃厚な甘味に少しのスパイス、ピートをほぼ感じさせず濃厚な味わいと香りを実現させていて、間違いなく初めはストレートで呑んでいただきたい。どんな呑み方でも合う柔軟性も持っています。
シェリー樽での熟成により生み出されているこれらは世間でシングルモルトの"ロールスロイス"呼ばれているほど...。ただお値段はお手頃ではないので財布とは相談してくださいね...。
「ジョニーウォーカー(ブレンデッド)」
これまた有名所、世界で一番呑まれているのはこの銘柄かもしれませんね。
レッド・グリーン・ブルー・ブラック・ゴールドetc...とラベルによって味わいが異なり、沢山の種類があります。ジョニーウォーカーのキーモルトは50種類(タリスカー・ラガヴーリン・カリラ・カーデュetc)くらいあり、それぞれをブレンドして作られているため1概に味についての説明はしにくい部分が多いですね。
ただ基本は安価でコストパフォーマンスが高く、呑み方も高いラベルでなければストレート・ロック・ハイボールと万能です。
「アードベッグ(シングルモルト・アイラ)」
特徴は強烈な磯臭さとスモーキー・ピート香です。アイラモルトと呼ばれるジャンルのウイスキー全般に言えることですがとにかく癖が強い。上記2つが初心者向けならばこれは呑みなれた人向けです。
口に含めば香り通り、磯臭さや煙たさが広がりますが、そのあとにはしっかりとしたバニラ・フルーツの余韻が訪れる。この差を楽しむのが一興のウイスキーです。
ストレートは厳しいかもしれません、トワイスアップやロック、ミスト当たりが良いでしょうか。
スコットランドの風土が織りなす違い。数多の蒸留所による違い。楽しんでみてください。
【アイルランド-アイリッシュウイスキー】
アイルランドはウイスキー発祥の地。現在はスコッチが相当優勢ですが、かつてはスコッチに劣らずむしろ勝っていたという記録もあります。というのも衰退した原因は政治的な背景や独立などが関係してくるわけですから、浪漫ですね...。近年のウイスキーブームに則り、ここ5年くらいで蒸留所の数も爆発的に増えています。最近熱いウイスキー、それがアイリッシュウイスキーです。
スコッチと同じくアイリッシュを称するには法律での規則・条件等があります。
特徴としてはピートを基本的に使用しないことによる呑みやすさでしょうか。そして強いオイリーさもあります。
そして大事なところとしてモルトやグレーン、ブレンデッド等以外にアイリッシュ伝統の作成方法であるシングルポットスチルウイスキーなるものが存在します。 大麦麦芽にやオート麦、小麦、ライ麦などを混ぜて原料にし、単式蒸留器で3回蒸留する方法です。
この蒸留を重ねることで雑味が減りマイルドになります。
それでは銘柄を2つほど紹介します。
「ブッシュミルズ(シングルモルトorブレンデッド)」
400年もの歴史を持つ偉大なウイスキー。クセがなくマイルドでフルーティな感じの味わいでしょうか。呑みやすいので食事にも合わせやすいですし、カクテルのアイリッシュコーヒーなどにも勧められます。シングルモルトにブレンデッドどちらもありますが、個人的にはシングルモルトのほうが好みです。バーボン樽で長く熟成されているので、はちみつのような甘さが感じられる味わいが良い。大体は安価でコスパ良しです。トワイスアップ、ストレートで楽しんで欲しいですね。
「レッドブレスト(シングルポットスチル)」
アイリッシュっぽいアイリッシュウイスキー?といえばこれが真っ先に来るかなと思います。3回蒸留しており、雑味が少なく口当たりも良い。アイリッシュ特有のオイリーさに深い余韻。3回蒸留での味わいの深さとは思えないほどです。
ただ値段はお高め。アイリッシュの王道のようなウイスキーなので一度は試していただきたいですね。複雑な味わいを消してほしくはないため、ストレートをおすすめします。
【アメリカ-アメリカンウイスキー】
日本からも馴染み深いアメリカで作られているウイスキー。アメリカ産の穀物であるトウモロコシやライ麦で作られているバーボンウイスキーと聞いたことがある方も多いでしょうか。例にもれずアメリカンを名乗るには法律による規定があります。
バーボン以外にも、ライウイスキー、ホイートウイスキー、モルトウイスキー、ライモルトウイスキー、コーンウイスキーなど多く流通しています。
ここではアメリカンでポピュラーであるバーボンについて、少し紹介します。
原料には麦ではなくトウモロコシが使われており、51%以上のトウモロコシを仕様するのが条件。甘くまろやかなのが特徴。香りもバニラやキャラメルのようでアルコール臭さはほぼ感じないように思います。樽の内側を焦がしたホワイトオーク樽を使ったりするのも特徴ですね。これが味わいに深みを与えてくれるのかなと。残りの49%はライ麦等を使用し、トウモロコシの比率が多いほど、甘く呑みやすくなります。
それでは2種類ほど銘柄をご紹介します。
「ワイルドターキー(バーボン)」
バーボンといったらというほどスタンダードな銘柄。アルコール度数50%のものが多いため飲みごたえを求める人にもおススメ。バニラ、オーク樽のフレーバーに若干強めのオイリーさ。甘さは控えめですね。ストレートやロックがいいです。
「I.W.ハーパー(バーボン)」
トウモロコシ比率80%以上と甘く呑みやすいためバーボン初心者にもおススメ。価格も比較的安価で、12年のほうのより熟成されたものも飲んでほしい1品です。
呑み方はハイボールや水割りも合いますが、12年はストレートやロックで甘さを味わってほしいですね。
【カナダ-カナディアンウイスキー】
我々にとってなじみがあまりないカナダのウイスキー、カナディアンクラブ等遊泳なものはあれどカクテルベースなどになったりはするもののじっくり呑むという機会が一番ないものかもしれませんね。
アメリカに禁酒法が制定されていた時代。隣国で密輸が容易だったため、大量に消費されいまだに人気も根強いそうです。
特徴は呑みやすさ、ベースのトウモロコシメインのウイスキーと麦メインのウイスキーを別々に熟成前に混ぜ合わされバランス調整していること。ベースであるトウモロコシメインのウイスキーが9割ほど、残りの1割がフレーバリングとしてワインやブランデーが使われたり、幅が広く奥深い。カナディアンもなかなかいいものですよ。
それでは銘柄をご紹介。
「カナディアンクラブ」
やはりカナディアンといえばこれでしょう。とても安価で試しやすいということもありますが、アルコールの後にバニラなどの甘い香り味を深く感じることができます。ロックかストレートで、それ以外だと味がぼやけて感じられなくなります。
「アルバータプレミアム」
100%ライ麦で作られた珍しい品。カクテルベースによく使われているらしいです。正直これは呑んだことがない...。複雑な味わいらしく、クリアな感じでハイボールとかに良いとか。
【日本-ジャパニーズウイスキー】
我が祖国、日本にて作られたウイスキー。現在は値が高騰しており手に入りづらい品となっています。日本はウイスキーに関しては歴史も浅い方ですが、5大ウイスキーにまで数えられ、ここ10年はワールドウイスキーアワード、WWWでいくつも賞を取ったり、ウイスキーマガジンで1位2位を取るなど世界からも認められていることが分かります。
日本のウイスキーはスコットランドを手本としたのが始まりのため、スコッチに似ています。蒸留所が世界から見ても少なく、大手企業が自社でブレンテッドのグレーンウイスキーなども手掛け完結しているのがほとんどです。
そのためクオリティは一定に保たれ、自社ですべてを作る技術ノウハウに長けているため、とても繊細な仕上がりになります。日本では独自の樽、ミズナラ樽で熟成するため、スコッチとの違いもでて、独特の香りを生んでいます。
そして日本の蒸留所がある箇所の気候はウイスキー作りに最適でスコットランドに近いというのも理由です。原酒を作り分け、細かなところまで自社で作り上げるところは流石日本だなと思います。
ただ、現状ウイスキー需要の増加により山崎、余市の年数入りラベルなど一部商品が終売するなどの側面もあります。「マッサン」という朝ドラが放送されたことによる影響が大きいと思いますね。辛い。
それでは銘柄紹介。今回は比較的手に入れやすいものをチョイスします。
「フロム・ザ・バレル」
度数が50度以上と高いですが、それを感じさせない甘い香り、味が特徴です。口に入れたときの香りがブワっと広がる感覚、力強いフレーバーを感じられ良い余韻を楽しめます。
手頃で入手はしやすいです。呑み方は香りの甘さを消さないストレートがおススメ。
「シングルモルト余市」
焦げたような香りの奥にあるフルーツの香り、ピートやスモーキーさは香りではほとんど感じず口に入れたときに鼻まで抜ける香りが立ち上ってきます。そのあとに確かなオーク樽の甘味を感じ、余韻にスモーキーさを若干含みます。重く強い味わいです。
値段はそこそこ、高騰してはいますが間違いなく良い品です。機会があれば是非。
いかがでしたでしょうか、5大ウイスキーについてさわりだけ紹介してきました。
間違いや指摘はあると思いますが、各国の特徴や味わいについて少しでも参考になれたらと思います。
細かなところ、個人的におススメしたい銘柄などまだまだ紹介したいところはありますので、次の記事では完全に個人的な好みからウイスキーを紹介していきたいと思います。